婦人科検診とは?主な検査項目・費用相場・検診の流れを紹介
婦人科検診に興味はあるものの、「今は健康だから」「内容がイマイチわからないから」という理由で受診を後回しにしていませんか?
婦人科検診では、女性特有の病気である子宮頸がんや子宮体がん、乳がんなどの早期発見につながる非常に重要な検査を受けられます。健康だと自覚している方でも、自覚症状のない重い病気が見つかる可能性があるため、年に1回の定期的な検診がおすすめされています。
この記事では、婦人科検診の主な検査項目や費用相場、検診の流れなどをご紹介します。
婦人科検診とは
婦人科検診とは、女性特有の様々な病気の発見を目的とした、各種検診の総称のことです。
主に子宮や卵巣に関する婦人科領域の病気を対象としていますが、最近では乳がんなどの乳腺科領域の病気に関しても婦人科検診に含めることが多くなっています。
具体的には、乳がん検診、子宮頸がん検査、乳腺エコー検査などが婦人科検診の検査項目となります。
婦人科検診の必要性
婦人科検診は、女性特有の器官に現れる病気の危険因子を早期発見し、適切な治療を行うために必要な検査です。
厚生労働省では、住民健診の一環として対象集団全体の死亡率を下げることを目的にした「対策型検診」と、個人の死亡リスクを下げることを目的にした「任意型検診」の定期的な受診を推奨しています。
女性は年齢や月経の状態、妊娠歴や出産歴により、病気にかかるリスクが大きく変化します。
日常生活をおくる中で、自覚症状がなくとも発症する重い病気もあるため、健康だと思っている方でも婦人科検診を定期的に受診することが大切です。
婦人科検診を受ける時期
婦人科検診は、性交渉の経験がある20歳以上の女性が受けるべき検診です。
例えば、子宮頸がんの場合、30代後半が発症のピークとされていますが、最近では20代の若い世代でも増加の傾向にあります。そのため、20代前半から婦人科検診を受けることで早期発見につなげられます。
子宮体がんに関しては、40代後半の閉経前後から増加する傾向にあり、発症のピークは50〜60代となります。若い方でも閉経を迎えた方でも、健康的な将来をおくるために、婦人科検診を受ける重要性は非常に高いと言えます。
婦人科検診の主な検査項目
婦人科検診では、子宮がんなどの悪性腫瘍の発見を目的とした検査や、子宮筋腫などの良性腫瘍の発見を目的としたエコー検査など、様々な検査が用意されています。
施設や受診コースによって異なりますが、以下のような検査を受けることが可能です。
- 子宮頸がん検査(子宮頸部細胞診、HPV検査、乳がん検診)
- 子宮体がん検査(子宮体部細胞診、経膣エコー検査)
- 乳房視触診
- マンモグラフィー(乳房X線撮影検査)など
ご自身の健康状態を大まかに調べる健康診断とは異なり、年齢とニーズに合わせて適切な検査を受ける形となります。
次項からは、一般的な婦人科で行っている婦人科検診の各種検査をご紹介していきます。
子宮がんの発見を目的とした検査と費用相場
子宮がんの発見を目的とした婦人科検診で代表的なものが、子宮頸がん検査と子宮体がん検査です。
それぞれの検査内容や費用相場について、詳しくご紹介します。
子宮頸がん検査
子宮頸がんとは、子宮の入口付近にできる悪性腫瘍のことで、HPV(ヒトパピローマウイルス)に持続的に感染することが原因だと考えられています。
子宮頸部細胞診
子宮頸部細胞診は、内診台に上がった状態で子宮頸部(子宮の入り口を)を検査用の綿棒でこすり、子宮頚部の細胞を採取します。その後、採取した細胞を調べることで、異形成の程度やがんの有無を確認します。
検査時にわずかな痛みや違和感を感じる方もいますが、出血はほとんどありません。
子宮頸がんの多くは、30代〜40代の女性に発症し、最近では20代の患者様も増加の傾向にあります。
子宮頚部細胞診の所要時間は5分程度となっており、全額自己負担の場合の費用相場は5,000円程度です。
HPV検査
HPV検査は、子宮頸部細胞診を行った際に採取した細胞を調べ、子宮頸がんの発症リスクが高いHPVの感染の有無を調べる検査です。
HPVとは、性交渉などが原因で多くの女性が感染すると言われている、ごくありふれたウイルスのことです。
多くの場合、子宮頸部の細胞にHPVが感染しても、1〜2年以内に消失します。しかし、約10%の人がHPVを排除できず、5〜10年かけて感染が持続することで子宮頸がんにかかるリスクがあります。
HPV検査は、子宮頸部細胞診とセットで行われるのが一般的で、費用相場は合わせて1万円前後です。
子宮体がん検査
子宮体がんとは、子宮内膜組織から発生する悪性腫瘍のことです。
子宮内膜がんとも呼ばれており、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの刺激が原因で発症するケースと、エストロゲンとは関係ない原因で発症するケースがあります。
子宮体部細胞診
子宮体部細胞診は、内診台に上がった状態で子宮内部に専用器具を挿入し、子宮内膜の細胞を採取してがんの有無を確認します。
子宮頸がん検査よりも痛みが強く、チクっとする感覚がありますが、過度な心配はいりません。検査後におりものが茶色くなったり、ごく少量の血が混ざったりしますが、数日で消失します。
子宮体がんの発症は、40代後半から増加の傾向にあり、50代〜60代が発症のピークと言われています。しかし、最近では若い女性の方でも子宮体がんになるケースが増えているため、早めに検診を受けることをおすすめします。
子宮体部細胞診の所要時間は5分程度となっており、費用相場は5,000円程度です。
経腟エコー検査(経膣超音波検査)
経腟エコー検査は、子宮や卵巣に関する病気の発見につながる検査です。
内診台に上がった状態でプロープという超音波検査の専用器具を膣に挿入し、子宮の大きさや内膜の厚さ、卵巣の状態を調べます。
プロープを挿入する際は、専用のジェルで滑りを良くするため、痛みを感じることはほぼありません。
子宮に関する病気である子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症などの病気の有無を確認できる検査であり、自覚症状のないような小さな異常を発見することも可能です。
経腟エコー検査の所要時間は10分程度となっており、費用相場は5,000円前後です。
乳がんの発見を目的とした検査と費用相場
乳がんは、日本人女性に発症するがんの中でもっとも多いと言われています。
どのような検査で発見につなげられるのか、各種検査の内容と費用相場をご紹介します。
乳房視触診
乳房視触診は、医師が直接乳房に触れて観察し、異常がないかを調べる検診です。
例えば、乳房の皮膚の異常や乳頭からの分泌物、しこりの有無、わきの下のリンパ節の腫れなどを確認します。
乳がん検査において、もっとも基本的な検査であり、乳腺症や繊維腺腫の発見にもつながります。
乳房視触診をマンモグラフィー・超音波検査とセットで行った場合、費用相場は全額自己負担で1万円程度です。
マンモグラフィー(乳房X線撮影検査)
マンモグラフィー検査は、乳房撮影専用X線装置を用いて、早期乳がんや乳がん以外の病気の有無を調べる検査です。
乳房を専用の圧迫板に挟み、X線装置で乳房内の組織を画像に写すことで、「しこり」や「石炭化」のような病変を発見することが可能です。
一回の撮影は数秒程度で済みますが、乳腺が張っている時期や乳腺が硬い場合には、検査時に痛みが伴うこともあります。
マンモグラフィーのみを受ける場合、費用相場は全額自己負担で5,000円程度です。
乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)
乳腺エコー検査とは、人体に害のない高周波の音波で、乳腺内の状態を調べる検査です。
乳腺エコー検査は、ベットに横になり、片手を上げた状態でその手の方の胸に超音波を当て、はね返ってきた超音波を可視化して異常の有無を調べます。
一般的に年齢が若い方・授乳をしたことがない方では乳腺の量が多い傾向があり、マンモグラフィではしこりが見つけにくくなりますが、乳腺エコー検査なら所見が得やすくなります。
検査時の痛みはなく、約5分〜10分程度で検査することができ、費用相場は全額自己負担の場合で5,000円程度となります。
婦人科検診の流れ
婦人科検診は、生理によって正しい結果が得られない可能性があるため、生理日を避けて予約する必要があります。
妊娠中や妊娠の可能性がある方は、事前にその旨を伝えておきましょう。
婦人科検診当日の一般的な流れは、以下のようになります。
①問診
自覚している不快症状や月経の状況、妊娠歴・出産歴などを問診票に記入します。
その後、診察室で医師によるヒアリングが行われます。
生理の周期や性体験の有無などが質問される場合もありますが、正確に診断してもらうために正しい内容を伝えましょう。
②内診
内診室に移動した後、内診台の上で症状に合わせた検査を行います。
基本的に、医師と患者さまの間をカーテンで仕切るため、内診中に顔を合わせることはありません。
内診では、説明をした上で検査器具や指を膣に挿入する場合があります。緊張する患者さまが多くいますが、深呼吸をするなどしてリラックスし、体の力を抜くことを心がけましょう。
③診察後
診察後は、医師からの診断の結果や今後の治療について説明を受けます。
その際、わからないことがあれば必ず質問することが大事です。
処方された薬の種類・使用量・時間・回数なども把握し、正しく服用しましょう。
婦人科検診をこれから受ける方に向けて
婦人科検診を受ける際は、以下のようなポイントを予めおさえておきましょう。
- 受診前日の性交は控える
- 受診前日の入浴は問題ない
- 健康保険証と診療費(多くて1万円くらい)を用意しておく
- お薬手帳・基礎体験表があれば用意しておく
- ナプキンを持参する(検査によって出血があるため)
- 受診当日は、顔色がわかるようにメイクを控えめにする
- 受診当日は、下着を脱ぎやすいゆったりしたスカートなどを着用する
より信頼性の高い検査にするためには、月経周期を考慮した受診時期の調整も大事です。
子宮頸がんなどは若年化が進んでいるため、早期発見のために早めの受診を検討してみてください。
まとめ
この記事では、婦人科検診の主な検査項目や各種検査の内容、費用相場などをご紹介しました。
子宮がんや乳がんなどの女性特有の病気は、早期発見、早期治療に勝るものはありません。
最近では、子宮頸がんの発症の若年化が進んでおり、20歳以上で性交渉の経験のある女性であれば、年に1回の頻度で婦人科検診を受けることをおすすめします。
『岡村産科婦人科』では、悪性腫瘍の危険因子の早期発見を目的とした、「子宮頸がん検診」「子宮体がん検診」「乳がん検診」などを実施しております。
婦人科検診は、患者さまにご自身の身体や健康の大切さを見つめ直していただける良い機会となりますので、お悩みの方は岡村産科婦人科までご相談ください。