おりものが黄緑のときに考えられる病気とは?対処法と早期受診の重要性
おりものとは、膣や外陰部、子宮から出る分泌物のことです。成熟した女性であれば誰にでもあるもので、膣内の潤いを保ったり雑菌の侵入や増殖を防いだりする役割を担っています。
普段はさまざまな菌の働きによってバランスが保たれており、体調不良や生理周期によって状態も変化しますが、おりものが黄緑になっている場合は何らかの病気の可能性があります。
そのまま放置してしまうと、重症化したり不妊症の原因になったりする恐れもあるため、すぐに婦人科を受診するようにしましょう。
本記事では、おりものが黄緑のときに考えられる病気とその対処法、早期受診の重要性について解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
正常なおりものとは
おりものが異常かどうか判断するためには、正常な状態がどのようなものなのか知ることが重要です。以下は、正常なおりものの状態です。
- 透明・乳白色・クリーム色をしている
- 甘酸っぱいにおいがする
- 卵白のように少し粘り気がある
- 排卵日付近は茶褐色になることもある
- 下着に付着すると黄色っぽく見える
おりものは、ストレスやプレッシャー、抗生物質の服用、ホルモンの影響によって分泌量が増えることもあります。
通常は透明や乳白色、クリーム色をしており、においはほとんどないか少し甘酸っぱい香りがします。下着に付着して乾燥したおりものが黄色っぽく見えるのも、正常なおりものの状態です。
生理と生理の間の排卵日付近には、分泌量が増えて排卵出血というごく少量の出血を伴うこともありますが、2日程度でおさまるようであれば心配する必要はありません。閉経している場合も、少量ずつおりものが出ることがあります。
ただし、おりものの色や分泌量は個人差が大きいものです。普段と違うと感じるような症状があれば、異常だと判断してください。
おりものが黄緑のときに考えられる病気
上述の通り、おりものは下着に付着して乾燥すると黄色っぽく変色することがあります。
しかし、おりものが出てからそれほど時間が経過していないにもかかわらず、黄緑もしくは緑色などの色がついていたり、分泌量が多い状態が継続したりする場合は以下の病気の可能性があります。
- 膣トリコモナス症
- 細菌性膣炎
- 萎縮性膣炎
- 淋菌感染症
- 性器クラミジア感染症
- 子宮頸管炎
おりものが黄緑になるのは、それぞれの原因となる菌と戦った白血球の死骸が混じるためです。
ここでは、各病気の特徴について詳しく解説しますので、自身の症状と照らし合わせてみてください。
膣トリコモナス症
膣トリコモナス症は性感染症のひとつで、トリコモナス原虫に感染することで起こります。性行為による感染が主ですが、タオルやシーツ、下着、浴槽などを介して感染する可能性もあります。
以下は、膣トリコモナス症に感染した場合のおりものの特徴です。
- 緑がかった黄色をしている
- 分泌量が多い
- 濁った泡状
- 悪臭がする
膣トリコモナス症は、おりものの特徴のほかに激しいかゆみや排尿時痛、外陰部の痛みを伴うことがあります。自然治癒はしないので、婦人科できちんと治療を受けなければいけません。
細菌性膣炎
細菌性膣炎は、膣内の常在菌が異常繁殖してバランスが崩れることで起こります。
疲労や抵抗力の低下、月経周期や妊娠によるホルモンバランスの変化、頻繁な膣洗浄や性行為などで善玉菌が減少して自浄作用が低下すると、膣内に雑菌が繁殖して細菌性膣炎の原因になります。
以下は、細菌性膣炎を発症した場合のおりものの特徴です。
- 灰色・白もしくは黄色い
- 色水のようにサラサラしている
- 腐った魚のような生臭いにおいがする
- 量が多い
細菌性膣炎は、おりものの特徴のほかに外陰部の赤みや腫れ、かゆみを伴うこともありますが、症状がないケースもあります。自然治癒することもあるものの、再発しやすいので、きちんと完治させるためにも速やかに婦人科を受診しましょう。
萎縮性膣炎
萎縮性膣炎は、女性ホルモン(卵胞ホルモン)の減少によっておりものの分泌量が低下し、膣粘膜の防御機能が弱まることで膣壁の萎縮と炎症が起こっている状態です。
以下は、萎縮性膣炎を発症した場合のおりものの特徴です。
- 黄色や黄緑がかっている
- 塊が出ることもある
- 血の混じった茶色をしている
- 悪臭を伴うことがある
萎縮性膣炎は、40代後半以降の更年期の女性に起こりやすく、とくに閉経後は現れやすくなります。
おりものの着色以外に症状がないようであれば、治療を受ける必要はありません。しかし膣の違和感や痛み、灼熱感、性交痛、出血、かゆみを伴う場合は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。
淋菌感染症
淋菌感染症は、淋菌という細菌に感染することで起こる性感染症です。ほとんどの場合、性行為によって感染しますが、手指や衣類などを介して感染することもあります。
感染しても軽症状であるケースも多いため、感染していることに気づかず、パートナーに症状が現れてから気づくことも多いでしょう。
以下は、淋菌感染症に感染した場合のおりものの特徴です。
- 黄緑がかっている
- 悪臭がする
- 量が多い
- 粘りがある
おりもの以外には性器のかゆみや痛み、不正出血や頻尿、下腹部の鈍痛、尿道から膿が出るなどの症状が出る場合もあります。
淋菌は子宮頸管などの粘膜に住み着いて炎症を起こしますが、進行すると卵管炎や腹膜炎を起こす恐れもあるため、気になる症状が現れたら早急に婦人科を受診しましょう。
性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症は、近年もっとも多くみられる性感染症です。性行為やオーラルセックスなどによって、クラミジア・トラコマチスという細菌に感染することで発症します。
以下は、性器クラミジア感染症に感染した場合のおりものの特徴です。
- 黄色や黄緑がかっている
- 量が多い
- 水っぽくなる
- 悪臭がする
潜伏期間は1〜3週間です。その間はおりもの以外の症状がないケースがほとんどであるため、気づかない方も多くいます。おりもの以外には、性交痛や下腹部痛、不正出血、かゆみなどが生じることもあるでしょう。
初期段階は子宮頸管での炎症に留まっていますが、放置していると子宮内膜炎や卵管炎、腹膜炎などを起こす恐れもあるので注意が必要です。
また、オーラルセックスなどによって咽頭の粘膜に感染し、咽頭クラミジア感染症を発症することもあります。のどの痛みやたんの増加などの症状がある場合は、早急に婦人科もしくは耳鼻咽喉科を受診しましょう。
子宮頸管炎
子宮頸管炎は、子宮の入口に炎症が起きる病気で、感染もしくは感染以外の病気によって発生します。
子宮頸管炎の原因となるのはクラミジアや淋病、膣トリコモナス、ヘルペス、性器マイコプラズマなどの性感染症であることが多いです。
以下は、子宮頸管炎を発症したときのおりものの特徴です。
- 黄緑がかっている
- 膿状
- 悪臭がする
- 量が多い
自覚症状がないケースも多く、進行すると下腹部や上腹部に強い痛みが生じたり、発熱したり、子宮内膜や卵管にまで炎症が広がる可能性もあるので注意しなければいけません。
おりものが黄緑のときの対処法
おりものの色や状態は、女性の健康のバロメータです。黄緑に変化している場合、何らかの病気にかかっていたり、生活習慣が原因であったりすることもあります。
ここでは、おりものが黄緑のときの対処法をご紹介するので、ぜひ参考になさってください。
婦人科を受診
黄緑のおりものが1週間以上継続している場合や膿や血が混じっている場合、おりもの以外に外陰部や膣の炎症症状、腹痛などがある場合は、婦人科の受診が必要です。
婦人科では、おりものが黄緑になる原因を検査によって突き止め、適切な処置や薬の処方で根本的に治していきます。
婦人科を受診せずに市販薬を利用したり、ビデやシャワーで腟内洗浄をしたりすると、結果的に完治が遅くなることもあるので自己判断はやめましょう。
また、性感染症によっておりものが黄緑になっている場合、パートナーも感染している可能性が高いため、同時に治療を受けなければいけません。コンドームを使用していたとしても、確実に感染を回避できるわけではありません。必ずパートナーにも受診してもらうようにしてください。
セルフケア
感染症だけでなく、普段の生活習慣が原因となり膣内の常在菌のバランスが崩れることによって、黄緑のおりものが発生することがあります。
膣内の清潔や健康を保つためにも、以下の点に注意して生活しましょう。
- 性行為時は清潔な環境でコンドームをつけて行う
- ナプキンやおりものシートはこまめに交換する
- 膣内を洗いすぎない
- 蒸れない下着を着用する
- ストレスを溜めない
- 睡眠を十分に取る
- バランスの良い食事を心がける
おりものの異常は基本的に婦人科を受診すべきですが、日常の中で上記のことを心がければ改善する場合もあります。反対に、上記のことを試しても症状が続くようであれば、病気の可能性が高いので、必ず婦人科を受診しましょう。
おりものの異常は早期受診が重要
おりものは生理周期や体調によっても変化するため、どの程度の症状が現れたら受診すべきか迷ってしまうかもしれません。
しかし黄緑のおりものが出る場合は、感染症や膣内環境の乱れが原因となっていることが多く、そのまま放置してしまうと炎症が広がって不妊の原因になったり、子宮がんや卵巣がんなど命に関わる病気を見落としたりする恐れもあります。
普段のおりものと色や量、においが違うなど何か気づくことがあれば、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
まとめ
個人差はありますが、通常のおりものは透明や乳白色、クリーム色である場合が多く、悪臭もありません。
黄緑のおりものが出るのであれば、何らかの病気にかかっている可能性が高いです。
症状を悪化させる恐れもあるので、自己判断での治療はせず、婦人科で必要な検査を行い、適切な治療を受けるようにしましょう。
女性の一生の中で、女性特有のお悩みについて気軽に相談できるかかりつけ医の存在は非常に重要です。
岡村産科婦人科は、1962年に開設以来、生涯のかかりつけ医として地域に根ざした医療を心掛けております。
注意すべき症状や治療方法など、ライフステージに応じて患者様一人ひとりに適した診療を提供いたしますので、おりものの異常にお悩みの方は、岡村産科婦人科までお気軽にご相談ください。