性交痛は女性によくある悩み！原因や解消法・受診の目安を詳しく解説
性交痛とは、性行為のときに痛みを感じることです。
年代に関係なく女性の5〜10人に1人が経験するといわれており、痛みの程度によっては性行為自体が苦手になってしまうことも少なくありません。
また、痛みを我慢し続けていると、異性とのお付き合いが怖くなってしまったり、パートナーとの関係がうまくいかなくなったりすることもあります。
性交痛の原因にはさまざまなものがあり、中には思わぬ病気が隠れている恐れもあるため、早めに婦人科を受診することが大切です。
本記事では、性交痛の種類や原因、解消法、受診の目安について詳しく解説します。つらい性交痛にお悩みの方はぜひ最後まで読んでみてください。
性交痛を感じる場所は主に2ヶ所
性交痛は「痛みで挿入できない」「挿入できても痛い」などの痛みの総称です。ヒリヒリしたり鋭い痛みを感じたり、締め付けるような痛みを感じることもあります。
性交痛を感じる場所は、原因によって異なりますが、主に膣の入り口付近と膣の奥の2ヶ所です。解消法もそれぞれ違ってくるため、まずは自身が性交痛を感じる場所を特定してみましょう。
膣の入り口付近
外陰部や陰唇などの膣の入り口付近に感じる痛みを「入口部性交痛」と呼びます。
このような場合、処女膜や膣の乾燥が原因となるケースが多く、病気であることは少ないです。しかし痛みを感じることをパートナーに言い出しづらいため、一人で悩みを抱え込んでしまう方も少なくありません。
また、膣の乾燥などの症状が進行すると、膣の入り口部分だけでなく膣壁全体に痛みを感じることもあります。
膣の奥
膣の奥に感じる痛みは「深部性交痛」と呼びます。
男性がペニスを挿入してピストン運動をしているとき、膣の奥にある子宮口付近に痛みを感じる場合は、深部性交痛かもしれません。
奥まで挿入したときに激痛を感じるのであれば、病気が隠れている可能性もあります。放置してしまうと後々大掛かりな治療が必要になる恐れもあるので、早めに医療機関を受診しましょう。
性交痛の原因
性交痛の原因は精神的なものから物理的なものまでさまざまです。人によっては、複数の原因が重なっている場合もあります。
つらい性交痛を早く改善するためにも、さまざまな原因について知っておきましょう。
女性ホルモンの減少による膣萎縮
多くの場合、女性は40代後半から50代半ばくらいまでに更年期が訪れます。更年期に差し掛かると、性交痛に悩む女性が増え、セックスレスになることも少なくありません。
この時期の性交痛に関係しているのが、卵巣で作られる「エストロゲン」という女性ホルモンの減少です。エストロゲンの減少は、膣の乾燥や濡れにくさ、膣壁が傷つきやすくなるなどの症状を引き起こします。
また、閉経後しばらく経過すると、膣の乾燥によって外陰部や膣内が萎縮してしまうことがあります。出血もしやすくなり、性交痛がひどくなったり、雑菌が繁殖して「萎縮性膣炎」を発症したりすることもあるでしょう。
ストレスや緊張
膣は非常にデリケートであるため、少しのストレスや緊張で潤わなくなってしまいます。
初体験や久しぶりの性行為は緊張しやすいものです。体全体が硬くなって膣がしなやかに動かず、痛みを感じやすくなります。それに加えて仕事や日常生活で疲れが溜まっていると、さらに潤いが不足してしまいます。
また、過去に性行為でこわい思いをした、性行為に対してマイナスのイメージを持っているなど、精神面の影響も大きいです。
精神的な理由が原因の性交痛は、慣れれば治るというものではありません。放置してしまうと悪化する恐れもあるので、原因となっているトラウマやストレスを解決することが重要です。
出産・産褥期
出産後、パートナーとの性生活をスタートさせた途端、以前にはなかった痛みを感じることがあります。
以下は、出産後に感じる性交痛の原因です。
- 授乳期間でエストロゲンの分泌量が低下している
- 会陰切開・裂傷の縫合痕のひきつれ
- 出産の経験から無意識に恐怖を感じる
- 妊娠・出産をもうしたくないという気持ちがある
出産後に体を回復させるためには6〜8週間ほどかかり、ホルモンバランスも通常と異なります。
エストロゲンの分泌量による潤い不足、会陰切開や裂傷の痕のひきつれや不安、緊張からくる筋肉のこわばりなどによっても、痛みが生じる可能性があります。
婦人科の病気
数ある性交痛の原因の中でも注意したいのが、病気による痛みです。とくに子宮の奥に痛みを感じる場合は、以下の病気の可能性もあるので、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
- 子宮筋腫
- 卵巣腫瘍
- 子宮内膜症
子宮筋腫は、成人女性の4人に1人が持っているといわれている比較的ポピュラーな病気です。子宮筋腫はエストロゲンとの関係が深いため、更年期以降は症状が軽減していく傾向にあります。
子宮内膜症もエストロゲンの分泌量に影響を受ける病気のひとつで、子宮の裏にあるダグラス窩という場所によくできます。性行為時に膣の一番奥を刺激すると当たる場所なので、内膜症があると激痛を感じる可能性が高いです。
卵巣腫瘍は、早期の段階ではほとんど自覚症状はありません。しかし大きくなってくると、下腹部の痛みや張り、性交痛が生じる可能性があります。数ヶ月間かけて徐々に痛みが強くなっている場合は、病気による性交痛を疑うようにしましょう。
炎症や感染症
膣内の炎症や感染症でも、性交痛が生じることがあります。炎症の種類によってはおりものの異常や外陰部のかゆみ、痛みなどで気づく場合もありますが、性感染症の中には自覚症状に乏しいものもあるので注意が必要です。
性器クラミジア感染症や淋病感染症などは、自覚症状が現れにくい場合もあります。放置すると不妊症の原因になったり、腹膜炎を発症したりする恐れもあるので、何らかの異変を感じたら早急に受診するようにしましょう。
生まれつきの身体的特徴や体質
生まれつきの性器の形や位置、膣の狭さや処女膜の厚さなどには個人差があります。それらの身体的な特徴によって性交痛が生じる可能性もあるでしょう。
また、女性側だけでなく、男性のペニスの大きさも性交痛の原因のひとつになり得ます。男性は気づかなかったりわからなかったりする場合もあるため、パートナーに性交痛があることを打ち明けて話し合うことが重要です。
前戯不足や間違ったテクニック
男性によっては、膣の奥を突けば女性が喜ぶ、手荒く触ったり擦ったりした方が気持ち良いなど、間違ったテクニックを信じていることがあります。
しかし女性器は非常にデリケートな部分であるため、そのような愛撫をされてしまうと快感どころか痛みを感じてしまいます。時には恐怖や緊張で濡れなくなってしまい、性交痛が起こることもあるでしょう。
触れられて気持ち良い場所や力加減は人によって異なります。パートナーに言いづらいことではありますが、自分はどうされたら気持ちが良いか伝えてみるのもひとつの方法です。
性交痛の解消法
性交痛のお悩みは深刻な一方、人にはなかなか相談しづらいものです。しかし、痛みを我慢していては性行為がつらいものになってしまいます。
性交痛を解消するには、ゼリーやローションなどを使って自力で行う方法と、婦人科を受診する方法があります。
ここからは、性交痛の解消法について詳しくご紹介するので、ぜひ参考になさってください。
ゼリーやローションで潤いを補う
潤い不足による性交痛には、ゼリーやローションなどの潤滑剤を使用して物理的にスムーズに挿入できるようサポートすることが重要です。パートナーに状況をきちんと説明し、協力してもらうようにしましょう。
また、したい気持ちを高めるための雰囲気づくりや体位の工夫も大切です。
前戯を丁寧にしたり、お互いが気持ち良く感じる体位を探したりなど、膣の潤いが増すよう2人で話し合いながらチャレンジしてみることをおすすめします。
婦人科で原因の治療を受ける
婦人科クリニックでは、性交痛の原因を突き止め、それぞれに合った治療を受けることが可能です。
性交痛の原因が心因性の場合、カウンセリングや性交トレーニングなどで性行為や性器に対する不安や嫌悪感を取り除く治療を行います。
処女膜強靭症や処女膜閉鎖症、小陰唇肥大など、もともとの性器の形状に問題がある場合は、処女膜切開術や小陰唇縮小術で性交痛を解消します。
術後は1ヶ月後くらいから性行為が可能です。処女膜切開術を受けた後は、膣ダイレーターを使用したトレーニングを行うクリニックもあります。膣への異物の挿入に抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、医師の指示に従って適切な治療を受けましょう。
なお、更年期の膣萎縮が原因の性交痛には、HRT（ホルモン補充療法）を行うこともあります。飲み薬や貼り薬、塗り薬の中から症状や体質に合わせて適切な薬が処方されるので、医師の指示通りに使用しましょう。
「モナリザタッチ」などのレーザー治療も、潤い不足による性交痛に対する治療の選択肢のひとつです。産後や加齢による性交痛にお悩みの方は、モナリザタッチを取り扱っているクリニックを受診することをおすすめします。
受診の目安
以下は、性交痛で婦人科を受診すべき目安です。
- 頻繁に痛みを感じる
- 激しい痛みがある
- 痛みが何日も残る
性行為の最中や行為が終わった後、上記のような症状がある場合は、婦人科の病気が原因となっている可能性があるので、早急に婦人科を受診しましょう。
自己判断で様子を見たりセルフケアを行ったりするよりも、まずは医師に相談して原因を特定することが重要です。
婦人科では、まず症状や既往歴、服薬歴、性生活などについての問診を行います。次に内診によって身体の様子を診察し、必要に応じて検査を行ってから適切な治療を開始することになります。
早期に症状を改善するためにも、ぜひ一度婦人科クリニックを受診してみてください。
まとめ
性交痛はなかなか人には相談しづらいお悩みではありますが、適切に対処すれば痛みを解消できることがほとんどです。
性交痛の解消は、自分自身の満足感や幸福感にもつながります。また、婦人科の病気を早期発見したり不妊のリスクを少しでも減らしたりするためにも、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
「岡村産科婦人科」では、人にはなかなか相談しづらい性交痛などのデリケートなお悩みも、患者様に寄り添いながら解消に導きます。
モナリザタッチによる膣の若返り治療も行っておりますので、膣や外陰部に不快な症状を感じている方は、ぜひ「岡村産科婦人科」までお気軽にご相談ください。