生理の出血量が多いと過多月経の可能性も。起こり得る病気や対処法を紹介

生理 出血 多い

生理の周期や出血量は人によって異なるため、お悩みもそれぞれ異なります。

「生理の出血が多いからナプキンを1時間に1回変えている」「染みないか心配で外出がおっくう」など、経血の量が多いことで困っていたり心配していたりする方は、もしかしたら過多月経かもしれません。

経血の量が多すぎると、貧血の原因になることも多く、めまいや立ちくらみなどの症状が現れる可能性もあります。

また、血の塊が頻繁に出たり日常生活が困難なほどの生理痛が出たりする場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症など治療すべき病気が隠れている恐れも。

この記事では、生理の出血が多い「過多月経」の見分け方や考えられる病気、対処法をご紹介します。経血の量が多くお悩みの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

生理の出血が多いと「過多月経」の可能性も

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女性の多くが生理についてのトラブルを経験します。しかし、女性同士でも経血の量について話すことはあまりないので、自分の量が異常なのかどうかはわからない方が多いのではないでしょうか。

ここではまず、生理の出血量が異常かどうかの目安や、過多月経のチェックポイントをご紹介するので、ぜひ参考になさってください。

生理の出血はどのくらいだと異常?

生理のときの経血の量が極端に多いことを「過多月経」といいます。

日本産科婦人科学会では、正常な経血の量の基準を1回の生理で20〜140mlとしているため、それ以上の出血がある場合は過多月経だといえるでしょう。

生理のたびに自分で経血の量を測る方はいないので、それほど厳密に量を気にする必要はありませんが、過多月経が慢性的になっている場合、いつの間にかその状態に慣れてしまい病気を見逃してしまう恐れもあるので注意が必要です。

過多月経のチェックポイント

以下は、経血の量を測らずに過多月経かどうか判断するためのポイントです。

  • 日中でも夜用のナプキンを使っている
  • ナプキンやタンポンが1時間もたずに漏れてしまう
  • 経血量の多い期間が8日以上続く
  • 500円玉以上のサイズのレバー状の塊が出る

上記のポイントにひとつでも当てはまる場合、過多月経が疑われます。以下の過多月経による貧血チェックポイントも確認してみましょう。

  • 健康診断などで血液中の鉄が少ないといわれた経験がある
  • 日常的に立ちくらみやめまい、動悸、息切れをする
  • 疲れやすさや体のだるさを感じることがある
  • 頭痛や頭重感がある

正常な生理では、もっとも量が多い日でも2〜3時間に1回程度ナプキンを交換すれば済みます。

また、1回の生理の出血持続日数は3〜7日が正常な範囲、生理痛があったとしても軽度なので、これらを超えるようであれば何らかの問題があるかもしれません。

過多月経で考えられる病気と治療法

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過多月経の原因は、主に「器質性疾患」と「機能性疾患」の2つです。

ストレスや無理なダイエット、体調不良などによってホルモンバランスが崩れることで一時的に出血量が増えることもありますが、長引く場合は婦人科の病気が原因になっている恐れもあるので、注意が必要です。

ここでは、過多月経で考えられる病気と治療法を原因別にご紹介します。

器質性疾患

「器質性」とは、臓器や器官そのものの形態のことです。つまり、臓器や器官の病気が原因となって経血の量が増えている状態を「器質性疾患」といいます。

子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症などが器質性月経困難症の代表的な病気です。20代、30代と年齢を重ねるごとに経血の量が増えてきている場合は、これらの病気が隠れている可能性もあるでしょう。

子宮筋腫

子宮筋腫とは、子宮に良性のコブができる病気です。子宮筋腫ができる原因ははっきりとわかっていませんが、30歳以上の女性の20〜30%程度が発症するといわれています。

主な症状は月経量の増加と月経痛です。筋腫ができた場所によって症状が異なり、腰痛や頻尿、不正出血などの症状が現れる場合もあります。

また、治療が必要かどうかも筋腫ができた場所によって異なります。筋腫が小さく無症状の場合は治療の必要はありませんが、症状によっては薬で筋腫を小さくしたり、出血や痛みなどを軽くしたりする処置を行うこともあるでしょう。

診断は、内診や超音波検査で診断を行うのが一般的です。筋腫が大きい場合や手術を検討すべき場合はMRI検査を行い、その結果や年齢、大きくなるスピードなどによって医師が適切な判断をします。

子宮筋腫は不妊症や早産、流産の原因になることもあります。気になる症状がある場合は早めに婦人科を受診しましょう。

子宮腺筋症

子宮腺筋症とは、子宮内膜に似た組織が子宮筋層と呼ばれる筋肉の壁の中に発生する病気です。主に出産や流産をきっかけに発症します。

生理のたびに増殖と剥離を繰り返し、徐々に子宮筋層が大きく固くなり、激しい生理痛や下腹部、腰、下半身全体の痛みを引き起こします。経血の量も増えていくので、貧血になることもあるでしょう。

子宮腺筋症の治療には大きく分けて薬物療法と手術療法の2種類があります。症状や病気の進行具合、年齢、妊娠の希望などによって総合的に判断し、適切な治療を行います。

症状が軽い場合は、鎮痛剤による月経痛の軽減やホルモン療法による過多月経の軽減を選択することが多いです。症状が重い場合は、子宮全摘手術などを検討する必要があるので、医師とよく相談して最適な治療を受けるようにしましょう。

子宮内膜症

子宮内膜症とは、子宮内膜もしくはそれに似た組織が、卵巣や卵管などの子宮以外の場所にでき、増殖と剥離を繰り返す病気です。20〜30代の女性に発症することが多く、加齢で女性ホルモンの分泌量が減少するに伴っておさまっていきます。

子宮内膜症は不妊の原因となることも多く、内膜症患者さんの約30%に不妊があるといわれています。

大きく分けて薬による治療と手術による治療があり、症状や重症度、年齢などを総合的に判断して最適な治療を選択しますが、どの治療法を選択しても再発する可能性が高いといわれているため長期にわたる経過観察が必要です。

機能性疾患

「機能性」とは、臓器などの働きや動きのことです。生まれ持った体質のようなもので、10代の頃から経血の量が多いという特徴があります。

病気が存在しないにも関わらず経血の量が多い場合は、機能性月経困難症の可能性が高いですが、若い年齢で症状が強い場合は将来的に子宮内膜症になりやすいことが知られているため注意が必要です。

黄体機能不全

黄体機能不全とは、排卵後にできる黄体から十分なホルモンの分泌がされず、子宮内膜の形成が悪い状態です。受精卵が着床しにくいため、不妊の原因になったり流産しやすくなったりします。

詳しい原因はわかっていませんが、黄体機能を調整している脳視床下部下垂体系や卵巣の異常、子宮内膜の異常などが原因だと考えられており、基礎体温と黄体中期の血中プロゲステロン値から黄体機能不全かどうか判断します。

治療法は、主にホルモン補充療法と黄体賦活化療法の2種類です。近年ではそれに併せて子宮や卵巣への血流を増加させるために栄養療法や運動療法を行う場合もあります。

無排卵性周期症

無排卵性周期症とは、月経のような出血があるにも関わらず、排卵を伴わない状態です。月経周期が不順なことも多く、月経があっても短かったり長かったり、経血の量が異常な場合もあります。

また、無排卵性周期症は思春期や閉経前に多くみられるのが特徴です。初潮から1〜2年ほどは無排卵月経であることも多く、不妊の原因になることもあるでしょう。

無排卵性周期症だと、体が常に卵胞期〜排卵期の間のような状態になります。そのため、月経前になってもおりものの量が多く、サラサラと水っぽかったりつまむと伸びたりする場合は注意が必要です。

原因は過度のストレスやダイエット、不規則な生活や喫煙など多岐にわたります。生活習慣の改善やストレスの解消などで改善する場合もありますが、ピルなどのホルモン剤や漢方薬、排卵誘発剤などを用いた治療を行う場合もあるでしょう。

内科系疾患

過多月経は、甲状腺機能異常などの内科系の疾患が原因で起こる場合もあります。

甲状腺機能異常には、甲状腺ホルモンの分泌量が多すぎる「甲状腺機能亢進症」と少なすぎる「甲状腺機能低下症」があり、原因も症状も真逆ですが、生理が乱れるという共通の症状があります。

症状の現れ方には個人差があるため、必ずしも過多月経になるわけではないものの、経血の量には注意が必要です。

甲状腺機能異常は、自覚症状や甲状腺の腫れ、血液検査などによって総合的に判断します。その後は薬やアイソトープ(放射性ヨウ素)治療、手術などの中から適切な治療を受け、甲状腺ホルモンの分泌量をコントロールすることで、通常の生活を送れるようになります。

過多月経かもと思ったときの対処法

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過多月経が疑われる場合、早めに婦人科を受診して適切な治療を受けることが重要です。

とくにだんだん経血の量が増えた、急に量が増えたなど生理の様子が今までと違うと感じたときは、一度婦人科を受診して原因を特定することをおすすめします。

10代や20代の方が婦人科を受診して内診台に上がるのは、なかなかハードルが高いかもしれません。しかし早めに治療しておくことで、子宮や卵巣など妊娠に関わる環境を整えることにもつながり、将来の不妊の原因の予防にもなるでしょう。

また、それと同時に生活習慣を整えることも重要です。体が冷えると経血の量が増える可能性もあるので、体を冷やさないよう心がけ、鉄分の多い食事を摂ることを意識しましょう。

まとめ

生理の出血量が多いことで婦人科にかかる方は少ないかもしれませんが、放置してしまうと稀に命に関わる重大な病気を見逃してしまう恐れもあります。

過多月経の方は、自分の経血の量が異常であることに気づいていない場合も多いので、今回ご紹介したチェックポイントを参考に、早めに婦人科を受診しましょう。

当てはまる項目がなかった場合も、定期的に婦人科を受診して検査を受けることが大切です。

岡村産科婦人科」は、昭和58年の法人化以降、25,000人の赤ちゃんの誕生を支援し、女性の一生の健康をサポートしてきた地域密着型の産婦人科クリニックです。

産科、婦人科、小児科の3つの診察科目において各分野の専門医が在籍しているので、安心して受診していただけます。

生理の血が多いことにお悩みの方は、ぜひお気軽に「岡村産科婦人科」までご相談ください。

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